だんじり祭りの蝉
盆踊りが終わり、9月に入ると秋祭り本番です。まず、笛太鼓などの鳴り物などの
稽古の開始を告げる、屋開きの神事が行われ、その翌週に秋祭り献灯台が
建てられます。そして彼岸の前後に献灯台に灯りが燈ります。
これからダンジリ祭りまで地車小屋の近くに、青年団、若中、若頭などが世代毎の
テントを張り、其々が集います。
テント張りの詰め所は、大きくは世代から世代へ受け継がれる民俗文化の伝承、
小さくは、地域の人々の連帯と親睦を図る人間広場となります。
富田林の秋祭りで曳行中の地車(だんじり)が横転と朝のニュースが報じて
おりましたが、地車の横転が、テレビ報道のニュースになること自体に、
逆に驚きです。
富田林と言えば、河内であり、上だんじりであり、地車の構造上、
やりまわしはしない筈であるが…
さて、泉州地方の秋祭りで地車を曳き廻せば、横転する事は珍しいことでない。
横転する現場を幾度となく見てきました。
岸和田〜泉佐野の泉州地方の地車(だんじりは)、下だんじりと呼ばれ、
上だんじりに比べて”やりまわし”に適していると言われますが、
だんじりの形状は、長方形で背が高く、重心が高いため、横転しやすい。
交差点で速度を上げ、地車を回転させる”やりまわし”を行うときに、
曳き綱と前梃、後梃のバランスが取れないときに、だんじりは、横転します。
横転時の危険なポジションは、「蝉」と呼ばれるたかりである。
やりまわしで地車の回転する外側に、遠心力が掛り、地車が外側に振られるため、
回転する地車の内側に蝉の様にたかり、重りとなるポジションであるが、
地車が外側に倒れず、揺り戻しで内側に倒れる場合、逃げ場のない蝉が
横転事故の被害者となります。
各町は、安全曳行のため、工夫を重ね、だんじりの重心を低くし、
横転しないように、だんじりに重りを載せたり、各種の対策を施しており、
その成果もあり、年々横転事故が少なくなっております。
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