実践空手の使い手 坂口弘一
古武道家である坂口弘一は、人生の大半を古武道の空手家として武道と真摯に
向き合い、後進の指導や本部会に捧げた人生でした。
自他伴に認める、武道を究めた実践空手の使い手でありながら、
武道家が陥り易い、荒っぽい武勇伝はなく、対人関係は物腰柔らかく、
喧嘩沙汰は一度も起こさず、人から恨みを買うこともない、生き方を貫ました。
空手の手合わせをする場合でも、対戦相手の人が、もしかしたら負けている
かも知れないと思わすぐらいの勝ちがよく、四分六の勝ちは勝ち過ぎであり、
五部を僅かに上回る勝ちが理想の勝ちだと、常日頃、語っていました。
勝負の世界、負ければ侮りを受けるが、勝ち過ぎても恨みを買う、勝ち方の
些事加減が真に微妙であり、この境地は、対戦相手よりも数段上の”使い手”
でなければ、到達できない技の境地であり、心技体の切れがあって始めて
可能となる技の使い方です。
坂口弘一は、古武道の空手家として、生涯、武道と真摯に向き合い続けた、
真に尊敬に価する、立派な人格者でした。
坂口弘一(範士九段、大道館(泉佐野))
Sakaguchi Koichi (hanshi 9th dan), Izumisano Daidokan dojo
前列左から:普久原朝盛、本部朝正、高野清、坂口弘一
後列左:安間忠明
大阪、本部邸、昭和52年頃
日本空手道本部会は、昭和52年、大阪の本部流大道館と埼玉の日本伝流空手道春風館とで結成されました。
のちに、群馬の日本伝大道館も加わりました。
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