故郷の丘に眠る ”夢追い人”


坂口弘一 故郷の丘に眠る

弘一兄の少年時代、風光明媚なざんばら公園墓地に隣接する、山の池、妙見山、
日天教辺りは、草原や山林、水辺の有る、格好の遊び場でした。

山の池の土手で土筆やゼンマイを取り、霞網を張り、小鳥取りをしました。
妙見山で野兎を追い駆けたり、竃の燃料となる、柴刈りをしました。
又、水が少なくなった山の池では、海老蟹取りをしました。

兄の弘一から聞いた逸話ですが、戦時中、山の池で泳いでいるとグラマン戦闘機に
狙われ、機銃掃射を受け、グラマン戦闘機を操縦している操縦士の顔やゴーグルが
はっきりと見える程に接近し、山の池で泳いでいる、少年だった長兄を目掛けて機銃掃射を
掛けてきたそうです。
幸い、池の入り江に張り出している松の木の木陰に隠れ、難を逃れることができたと
語っていました。

 

戦闘員でない少年だった兄の弘一に、グラマン戦闘機は、容赦なく機銃掃射を
加えました。女、子供などの非戦闘員もすべて攻撃の対象となっていました。
戦中派である長兄にとり、戦争は、実感として残酷であり、美化はできませんでした。
昔話を語ることの少ない人だっただけに、戦時中の印象的な体験話でした。


だんばら公園

山の池周辺は、兄の弘一にとっても、私と同様に、幼少の頃の里山であり、遊び場でした。
そして、兄弘一は、今、ざんばら公園がある丘陵の墓地に永眠しました。
ざんばら公園の丘陵から眼下を臨めば山の池が広がっています。
兄の墓前で手を合わしました。その時に爽やかな風が吹き、木々を揺らしました。
兄の優しい眼差しが脳裏を過ぎります。
戦中から戦後の時代を駆け抜けた古武道家坂口弘一の魂魄が涼風となり、
墓地のある壇原丘陵から少年時代の遊び場だった里山や山の池へと吹き抜けて行きます。



だんばら公園


だんばら公園


だんばら公園墓地




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