大杉谷から大台ヶ原縦走記”近畿の山々”

 

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宮川ダム湖から大杉
谷登山口


尾鷲道を行く

大台ケ原から筏場へ


大杉谷から大台ヶ原縦走記

宮川ダム第3発電所から千尋滝へ
”三発”の登山口から始まる、大杉谷渓谷から大台ケ原への登坂コースは、
滝と吊橋、岩をくり貫いた縦走路、半端でない登りが続く、大杉谷らしいコースです。


付替えられたばかりの案内図

登山届を出し登山口から山中に分け入るとV字状の渓谷や次々と現れる滝、
スリル満点の吊り橋などに、登山者は、すっかり心を奪われます。
山中の桃の木小屋を経て、奈良県の大台ヶ原へ抜けます。


大日クラ
発電所裏の階段を登ると最初のポイント「大日クラ」です。
高さ100m越の一枚岩の中間を道が掘ってあります。



岩をくり貫いた断崖鎖場だ。碧く澄んだ川もにふっと吸い込まれそうになります。
一歩踏み外すと縦走路から谷底に、滑落死と隣り合わせです。
大杉谷は、縦走路からの転落事故が多い。



断崖鎖場の眼下に碧い川もが見え、水深が深くなるほどに碧いろも濃くなっている。
食料やテントを入れたリックサックの帯が、ずっしりと両肩に食い込んできます。
”浮石を踏むな、滑落するぞ”と隊列のリーダーが、先頭から声を掛けてきます。
縦走路は、滑落死と隣り合わせです。


大杉谷らしい登山道(左に落ちたら命は無い!)

登山道(特に宮川沿い)はアップダウンが激しく急峻な断崖にあり狭く危険であるので
、十分な装備と慎重な行動が要求され、事実、毎年何人かの登山者が急峻な登山道や
吊橋から落下し、死亡しています。


大日クラ吊橋
大日クラの岩壁から大杉谷の流れを見ていると、最初の吊橋が出てきます。


大日クラから最初の吊り橋

この秘境のコースは滑落事故が多発しており、十分な装備と訓練を積んで来た健脚者
さえ登山道からの滑落と隣り合わせの厳しいコースです。
山道は、1,500m程度の高低差があるため、大台ケ原から下る行程を選ぶ人が多いが、
登る行程のほうが安全である。



能谷吊橋
大日クラ吊橋から更に15分程で次の吊橋が現れます。
この辺、河原が広くなっていて、状況次第で次の地獄谷吊橋まで河原を歩くことができます。






川の水は蒼く澄み綺麗です。

地獄谷吊橋
能谷吊橋を渡ってすぐで地獄谷吊橋です。
河床は吊橋の下まで上がっており吊橋の記念写真が撮れます。


河原の乾いた場所で休憩もOK

京良谷出合
京良谷出合の河原に到着、ここで小休憩。河原で水を補充します。



ここから登山道はやや高い場所を通り再びシシ淵で河原に降ります。

日浦杉吊橋
京良谷出合より川床を離れ、登っていくと、平成8年に完成した日浦杉吊橋が現れます。



ここから大杉谷の鋭いV字の地形がきれいに望めます。

大杉谷渓谷は、手付かずの景観が残る秘境の渓谷であり、何故か登山者を惹きつけて離
さない魅力も秘めています。

第三発電所から3kmほどの千尋の滝までなら比較的安全で、ある程度秘境の雰囲気を味
わえるが、登山装備は必要で油断は禁物である。

最初に大杉谷を訪れたのは40年前の5月の連休。山岳部の仲間14人と大杉谷から
大台ヶ原へ縦走の途中、この谷で幕営しました。川原の僅かな砂場にテントを張り、
谷川に飯粒を餌に釣糸を垂れると、人馴れしていない魚達が群がり、
入れ食い状態で釣れ、魚を生きたままで天婦羅にして食べました。
もちろん現在は、釣りどころか幕営禁止です。



千尋滝
日浦杉吊橋から20分程で最初の大滝、千尋滝が現れます。
ここには東屋があり、雨天時でも休憩可。付近では蛭に注意。
このあたりで登山口と桃の木山の家の中間地点になり、岩場が多く、滑り易いので気を付けて!


千尋の滝:落差約180m

水場
途中水場を通過します。
水分補給はここで行いましょう。


水場

看板を見ながらシシ淵を目指します。
登ったり降りたりが続き、鎖場も多く注意が必要です。



集中豪雨に見舞われた後などは、大自然が牙を剥き、登山コース自体が、長期に渡り
閉鎖されている場合もあります。2004年に台風21号による豪雨で土石流災害が発生し、
それ以来、
大杉谷登山道が閉鎖中(大台ケ原から大台林道は可能)でしたが、
2014年4月に全線が開通しました。


シシ淵
坂を降りていくとシシ淵に到着します。
両側の岩が迫った行合いの奥にニコニコ滝が流れ落ちており、時間が許す限りここで佇みたいところです。


シシ淵 奥の中央辺りでニコニコ滝が見えます。

シシ淵の巻きを超え、ニコニコ滝へ

登山道は急な斜面を登り、谷が細くなったところでこれを越え、また下っている。
急勾配の斜面に梯子が付いていている登山道、ここが大杉谷の登山道最大の難所で上り
斜面に胸が支える“胸突き八丁“と呼ばれるところです。


シシ淵の巻き

シシ淵の巻きは、大杉谷の登山道最大の難所、高度感があり、鎖も二重になっています。
この難所の真下にニコニコ滝が流れています。


ニコニコの滝:2段、落差50m

ここがニコニコ滝だとワンゲルの顧問である白井先生から説明して頂いたことを思い出
します。顧問の先生は、所属している山岳会のメンバーと共に、沢伝いに登っていた
大杉谷の登山道の整備を行ったとのことである。
登山道を整備して頂いたお陰で沢伝を歩くことなく登山道を歩き、尚且つこの難所である。
登山の疲れがピークに達して、眼下に広がる素晴らしいニコニコ滝の景色を楽しむ
どころではありませんでした。

踊場のような場所に二段の滝が落ちている。それでニコニコ滝と呼ばれています。
看板も設置されておらず、大杉渓谷の中では地味な存在と言えるが、落差・水量とも
十分な、景観の良い滝である。



平等クラ吊橋
谷を見下ろしながら進むと、旧平等クラ吊橋のアンカーだった、大きなコンクリートの塊の上を歩きます。
ここから少し登っていくと、新・平等クラ吊橋です。
上流側は平等クラと呼ばれる大岩壁がそそり立っています。



平等グラ橋と平等グラ(右の絶壁)



一番の難工事だった平等グラ橋


加茂助吊橋
右手に平等クラの2つの岩峰を見ながら進みます。
小さい階段を登ると加茂助吊橋です。ここまで来れば、桃の木山の家はもう少し!




大杉谷の看板
吊橋を渡った先にベンチと大きな大杉谷の看板があります。
ここから平等クラの2つの岩峰が「平等」な高さで望めますが、木が成長して若干見にくい




大杉谷の「桃の木山の家」へ
宮川ダムの三発(第三発電所)から昼でも薄明かりの大杉谷を、ひたすら縦走すると
4時間と30分ほどで”桃の木山の家”に到着します。大台ケ原に向かって登って行くと、
ニコニコ滝から50分ほど
すると、沢の上の方でぽつんと建っているのが、宿泊先となる
”桃の木山の家”です。


この”山の家”に今は無いが、桃の木が植えられていていたらしい。
それで桃の木山の家と呼ばれている。よほどの健脚で足が速くない限り、
ここでの宿泊となります。
桃の木山の家は、収容人数500人の大きな山小屋であり、大杉谷から大台へ向かう
登山者の宿泊所で素泊まり(自炊)5,000円が基本です。
山小屋の側に自炊場も用意されています。
宿泊は、予約なしで”OK”ですが、5月の連休中などで登山者の宿泊客が多いときは
、他に泊まれる処が此処しかなく、来る者拒まずで受け入れるため、勢い体を横に
しての雑魚寝となります。



桃の木山の家


つり橋の向こうに見えるのが桃の木の家です。ここから七ツ釜滝まではあと690m。

桃の木山の家から七つ釜滝へ






上の標識に納得


岩をくりぬいた縦走路





水のきれいな淵





七ッ釜滝に到着


七ツ釜滝:7段、落差120m、日本の滝百選

七ツ釜滝からから堂倉滝へ
この間の登山コースもよく整備され、
崩落箇所も岩を削って歩き易いようになっています。

堂倉の滝までの間に光滝 ー 隠滝 ー 与太郎滝があります。



光滝 : 落差40m

この滝は下部が滑り台になっていて滝壺を形成しません。
光滝から少し歩くと隠滝が見えてきます。


隠滝 : 落差15m

隠滝傍の隠滝吊橋から10分ほどで与八郎滝につきます。


与太郎滝:2段、段差40m


堂倉吊橋 29m

水量豊かな滝からは、吊り橋の横で見ているこの場所まで水飛沫が飛んで来ます。
滝しぶきで肌寒いほどでした。



堂倉の滝:落差18m

堂倉滝の滝壷は真っ青な大台(大杉)ブルー、吊橋の下に下りて、水が補給できます。


堂倉吊橋 29m

堂倉滝から日出ヶ岳へ
この間の登山コースは、急ではありませんがかなりの登りです。



単管で組んだ階段

この区間でインパクトのある地点、下りの場合はスリップ注意!


堂倉小屋へ730mの看板

登りの場合は、林道まであと何分か気になり、同じような景色をひたすら
登っている気がします。



堂倉小屋へ200mの看板

登りのときは有難い案内、きつい登りもこれで終了です!


大杉谷登山道分岐

堂倉から登山道を登って行き大台林道へ


堂倉避難小屋:交差する大台林道沿いにある。



粟谷小屋:交差する大台林道沿いにある。


シャクナゲ坂

シャクナゲ坂が始まるとシャクナゲの海です。この辺りは傾斜が緩くのんびりお花を楽しめます。


シャクナゲの花


シャクナゲの花



シャクナゲのトンネルが始まりました。


シャクナゲ平

痩せて尾根が明瞭になってくる頃、シャクナゲ平に着きます。
このあたりから、5月中旬から下旬にかけて、シャクナゲの花が楽しめます。



日出ケ岳の階段

日出ヶ岳が見えてから最後の階段でフラフラになります。
登りはこまめに休憩を入れ、階段をのぼります。



最後の急登。根張りとシャクナゲです。



日出ヶ岳の展望台が見えてきました。あとは大台ヶ原駐車場へ下ります。


日出ヶ岳山頂にある展望台



日出ヶ岳山頂より富士山を望む

1,695mの日出ヶ岳山頂。視界をさえぎるものの無い360度の大パノラマをお楽しみ
ください。東には、熊野灘、熊野湾。西には、大峰山系。天候の良い日には、富士山も
確認できます。日出ヶ岳山頂から約30分で
大台駐車場です。


日出ヶ岳山頂への道は、よく整備されており、ハイキング並みのコースです。

大台ケ原には、初心者向けの東大台コース、中級者向けの西大台コース、
上級者向けの大杉谷・小処・筏場コースがあります。

東大台コースを散策
筏場・小処・大杉谷から大台ケ原を縦走し、大台山荘で宿泊、夕食までに数時間の余裕があり、
山荘にリックサックを預け、宿で体を休めるのも良し、元気があれば散策するも良しの自由行動、
パーティーの行動でなく、気の合った仲間数人で東大台ケ原のコースを散策しました。
大台ケ原は1600mの高地、平均気温は札幌並みの寒冷地、日暮れると寒さが身に染みます。

東大台コースの見どころ:日出ヶ岳→正木峠→牛石ケ原→大蛇ー→シオカラ谷
東大台周遊コース:約9km 所要時間:約4時間






大台ヶ原駐車場

背中に担いでいた重いリックを大台ケ原の山荘で降ろすと、身体が浮き上がる様に
軽く感じながら、東大台ヶ原の周遊コースを散策しました。



大蛇ー

800mの断崖絶壁の上にあり、大蛇の背に乗ったようなスリルを味わえます。
眼前には大峯山系のパノラマが広がり、春の新緑や秋の紅葉の頃が特におすすめです。


大台ケ原のシャクナゲ群生
シオカラ谷まで続く登山道は、5月末〜6月初旬には見事なシャクナゲの
トンネルになります。



シャクナゲの花

シャクナゲはツツジの仲間の植物で深山の日陰に咲くところから古来より神秘的な
イメージをもたれており、冬の豪雪に揉まれる、大台の厳しい自然環境の中で逞しく
エレガントに咲いていたのが印象的です。なぜか登山の疲れが何処かへ飛んで行く
ような感じがしました。




シオカラ谷

長い下り道を行くと、シオカラ谷の吊り橋に到着します。
清らかな水の流れと溪谷美を堪能できます。ここからは急な登りになります。


大台山荘( 湯治館 )

今夜は大台山荘( 湯治館 )で宿泊大台ケ原の平均気温は札幌並み、明け方の冷え込みは真冬、
寒さで震えが来ました。
翌朝の帰路は、大台ケ原から尾鷲道をいっきにくだります。
スタート地点の尾鷲辻には東屋があり、その後側に尾鷲道が続いています。



東屋

この東屋の裏から尾鷲道の踏跡があります。


尾鷲辻

下山コースは、大台ケ原から尾鷲道を行くに続きます。







大杉渓谷から大台ヶ原縦走を終えての後書き

大台ヶ原から大杉谷への下りの登山道は、一般的で比較的、楽に歩くことができ、
その後、何度も縦走しましたが、下りの楽な登山は記憶に残ることはありません。

私達の記憶は不思議なものです。華やかな感動よりも厳しく過酷な体験が鮮明な記憶と
して何時までも残ります。
そういった意味で大杉谷から大台ヶ原へと向かう登りの登山コースは、貴重な体験
となりました。
そして大杉谷縦走路は、今尚、人を寄せ付けない現代の秘境と呼べる処です。


夏に北アルプの登山を計画し、その足慣らしにと選んだコースが大杉谷から大台ヶ原を
縦走するコースです。大台ヶ原から大杉谷へ下るのが一般的なコースであるが、そのコースの逆のコースであり、健脚者向けの極めて厳しいコースです。


十数名のチームで熟練者を先頭に、その後に体力が一番劣る人が続き、最後尾は最も
健脚のある人を配置しました。先頭を歩く熟練者は、チームから落伍者をださないため、
後ろに続くメンバーの息遣いを聞きながら、歩みの速さを決めていきます。
1500mを超える高低差、心臓破りの厳しい登山道を歩き続ける答は、修行僧と同じで
己の心の中にしかないが、修行僧と異なることは、隊列を組むチーム員への心配りを
しながらの登山となることです。


8月に予定している北アルプス登山への足慣らしのつもりでしたが、大杉谷は1500mの
アップダウンがあ
り、想像以上の難所、背中に背負うリックに、テントや寝袋、
コッフェルなどを入れるとリックサックの重さは、35キロ前後のの重装備である。
いくら健脚であってもアップダウンと共に徐々に体力を消耗し体に堪えました。

縦走の途中、休憩でリックを外すと、まるで夢遊病者の様に体が軽くなり、
浮き上がる様な感覚に襲われたことを覚えています。

この様な厳しい体験は後にも先にもありません。そして長時間に渡り、汗を流し続ける
と脱水状態になり、水分をいくら飲んでも喉の乾きは止まりませんが、
梅酒を一口飲むと不思議と喉の渇きが止まります。だから梅酒は登山の必需品です。



宮川ダム湖から観光船で大杉谷登山口へ




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