筏場道 大台ケ原から筏場へ"近畿の山々”

筏場道 大台ケ原から筏場へ”近畿の山々"

 

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大杉渓谷から大台ヶ原縦走

宮川ダム湖から大杉
谷登山口


尾鷲道を行く


筏場道は、地図でコースを眺めると簡単に攻略できそうですが、実際に歩いてみると谷あり尾根道ありの起伏に富み、
方向感覚を無くしてしまい緊張を強いられるコースですが、
渓谷と原生林、手付かずの自然が残り、
大自然の魅力に富む格調高き登山道です。


古道の筏場道

筏場道は、戸倉道の別名です。50年程前に大台ヶ原ドライブウェイが開通して間もない頃ですが、
山岳部のメンバーと一緒に大杉谷から大台ヶ原を縦走しました。下山コースは、大台ヶ原から筏場でした。


筏場道は、大台ヶ原ドライブウェイが出来るまで、筏場から大台ヶ原へ向かうメインルートでした。
山岳部顧問の白井先生によると、筏場道は大台ケ原登山のメインルートだったと語られていました。
ドライブウェイが開通後は、利用者も少なくなり、廃道となりました。
また、台風による度重なる風水害でコースは荒れて、通行止めとなっております。



筏場道の下りコース
大台ヶ原駐車場→大台教会経由→川上辻20分→一時間→金明水→一時間45分→大台辻→一時間10分(45分)
→三十三荷→釜の公吊橋→五色湯跡→屏風滝→35分(30分)→筏場 
筏場へは川上村役場・道の駅より車で一時間、林道の通行止め辺りに 有料駐車場あり(600円)




大台教会


大台ケ原駐車場から1q程歩くと川上辻です。


川上辻

台高山脈縦走路の終点(始点)近くの川上辻



いきなりに「通行止」の看板、ここからは自己責任で進みます。



断崖を刳り抜いた縦走路に鎖が張られています。


鎖場

石積みが残っています。



突然鋼鉄製の吊り橋が見えた。


新しくなった安心橋

名前は書いてないが、地図には「安心橋」と書いてある。


金明水

川上辻から大台辻の筏場道は多数の崩落箇所があり通行禁止です。今も残る古い石積みの道もある自然林の
なだらかな街道を下り切るとコブシ峠です。


こぶし峠



大台辻

1526mの川上辻からで穏やかに340m下って広々とした大台辻です。四辻です。
川上辻から大台辻までには 崩落個所が数か所ありましたが、何とか歩けるコースでした。
道標には大台山系(悪路注意)とある。



大台辻の筏場方面はロープが張ってあり通行止め。

大台辻から高低差がある眼下の下山道を見下ろすと、一面に敷きつめた白い雲海の下にありました。
急勾配の下り坂で転がり落ちそうな尾根道から雲海に包まれた登山道に突入すると、
視界が23m先しか見えない深い霧に覆われておりました。
湿度100%の霧の中を行くと、全身が雨に打たれた様にビッショリと濡れました。
3
日に1度は雨が降る、雨の多い大台ヶ原、雲海に出逢うことが多い。
大台辻から筏場までも崩落個所があり、通行止になっていました。


雲海


三十三荷

壊れかけた建物のある所が三十三荷です。



大台辻から3.6q

 
 釜の公吊橋 


桟橋



黒倉又谷に架かる橋


五色湯



大台辻から4.2Km。



道は本沢川左岸に沿って続きます。



白倉又谷を橋で渡ると林道ゲートの手前にでる。



渓流沿いから林道に出る。

 
 筏場道



後書き
若き日に山岳部顧問の白井先生から聞いた一本だたらの話を懐かしく思い出しながら、年末に「大台ケ原から筏場へ」
のHPをアップし、併せて面白い妖怪の話なので文献を引用
し、以下に記載しました。

伝説 いっぽんだたら【一本だたら】天ヶ瀬(上北山村)に住む射場兵庫という武士は、
伯母峰で背に熊笹の生えた猪を鉄砲でたおした。ところが、紀州湯の峰温泉に湯治に現れた野武士の正体が、
背中に熊笹の生えた怪物であることがわかった。その猪笹王(いざさおう)の亡霊は「兵庫の持つ鉄砲と犬を
手に入れたいから何とかしてくれ」と頼んだが、兵庫は聞き入れなかった。

そののち猪笹王の亡霊は一本足の鬼と化して伯母峰に現れ、旅人をとり始めたので東熊野街道はさびれてしまった。
ところが、丹誠上人が伯母峰に地蔵尊を勧請し、経堂塚(辻堂山)に経文を埋めて鬼神を封じてから、
ふたたび旅人も通るようになった。ただしこれには条件があり、毎年十二月二十日だけは鬼の自由に任すと言うことである。
それで今も「果ての二十日」だけは伯母峰の厄日とされている。

大台ヶ原大台教会の田垣内政一氏は、かつて教会の宿泊者を集めて、薄暗い石油ランプの下で手振り身振りおかしく
大台に伝わる「一本だたら」の伝説を語ったそうである。テレビでその様子が紹介されると一躍有名となり、
わざわざ妖怪話を聞くため泊まりに来る人もいたという。たたら亭に残る一本だたたの人形はその時に使われたもので、
かつての常連客が作って政一氏にプレゼントしたそうである。

ちなみに、政一氏の話では、「一本ダタラを封じ込めたのは、牛石ヶ原の牛石の下」とアレンジされている。
また、大台ヶ原のお土産として、交通安全を祈願したたたら人形が販売されている。

引用文献 『奈良県史13民俗()』奈良県史編纂委員会(S63.11.10.名著出版) 


 
大台教会で使われていた一本だたらの人形 

 
大台教会

 
猪笹王を祀った霊廟 



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