ISO9001:2008年版(追補)改定のポイント ISO取得支援専門バンコウコンサルテイング 

 

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ISO9001:2008
規格が改定(追補改定)されました。これを機会に、ISOを業務に役立つ、有効性の高い、
そして経営(業務)改善に結びつき、有効活用できるシステムに見直しすることをお勧めします。


ISO 90012008(追補)改定のポイント2008年版追補改定の経緯QMSが認証されていても、そのアウトプットで
ある製品が、必ずしも顧客の期待に応えていない(不良品の流失、法令違反など)という声の増加に対応し、
「一貫して要求事項に適合した製品の提供」を強調することが提案された。

必ずしも2000年版のISO9001の意図を正しく反映されないでQMSを構築・運用している例が見られることから
今回の追補改訂作業は、2000年版のISOに対して、・要求事項の明確化・公式解釈を必要とするような曖昧さの
除去、及び・ISO14001との整合性向上を行うことで規格本来の意図が正しく理解され、活用されることを
目的としている。


2008年版追補の理解のために

2008年版は、2000年版の規格本来の意図を正しく理解され、活用されるために、文言や構成の変更と、
注記を
多用している。

一部に、ISO原文は変更のない部分で、JIS分が変更されている場合もあるが、それも規格の意図を日本語として

正しく伝えるためと考えられる。

また、注記は、要求事項ではなく、規格の意図を正しく理解するために記載されているものであり、注記に則った
解釈を
することが求められる。

2008年版追補改定のポイント(1)

・規格要求事項に新たな要求事項は無い・規格要求事項の明確化と適切な解釈が主旨序文に
「望まれる成果を生み出すために」
が明記された。

望まれる成果とは、品質について組織が成し遂げたいこと、その中には以下のものが考えられる。

・顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品を一貫して提供すること。

・システムの効果的な適用、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して
顧客満足を得ること。

2008年版追補改定のポイント(2)

序文に「プロセスの成果を含む実施状況を継続的に改善が」追記された。

“望まれる成果を生み出すため”にプロセスを運用・管理することを推奨しており、各組織の実態に基づいた

適切なQMSによる“望まれる成果”が得られることを重要視している。

プロセス活動のPDCAを回した結果(成果)が重要。

そのためには、プロセスの機能(何をすべきか)を明確化しその達成状況が評価できる指標(尺度)により
監視する
ことがポイントとなる。

関連し合う全てのプロセスを監視することがプロセスアプローチにもつながる。

2008年版追補改定のポイント(3) 

適用範囲に「製品」の定義が注記追加された。

a)顧客に向けた意図された製品、または顧客に要求された製品

b)製品実現プロセスの結果として生じる意図したアウトプット全て

副生物や排出物のような、意図しないアウトプットは従来通り「製品」の定義には含まれない


アウトソースしたプロセスの管理 

4.1一般要求

アウトソースしたプロセスに適用される「管理の方式及び程度」を明確に定めることを追記された。

アウトソースしたプロセスは比較的管理が手薄になり易い望まれる成果を達成することに対して大きく影響を
及ぼす
可能性があり、アウトソースに対するリスクに見合った管理が必要。

アウトソースにおけるリスクを評価し、そのリスクを低減するための管理方法を明確化し、
「望まれる成果の達成」と
整合させることがポイント。


管理責任者の任命 

5.5責任・権限及びコミュニケーション

組織内の管理層から管理責任者を任命することが明記された。

管理責任者は経営者の意向を反映し、望まれる成果を生むためのQMSの運用管理の責任と権限が委任されている。

組織外(例えば親会社)の人員やコンサルタントが管理責任者に任命されていた場合、その責任・権限が

充分に行使出来ない可能性がある。

QMSの運用において、影響力を含め、その責任と権限が充分行使出来ることがポイント


力量を必要とする要員の範囲 

6.2人的資源

「製品要求事項への適合はQMS内の作業に従事する要員によって直接又は間接的に影響を受ける可能性がある」

ことが注記で追加された。

製品要求事項への適合には、組織の総合力が不可欠となる。

QMS内の要員は何らかの関わりを持っており、それぞれの役割を果たすための力量が必要になる。

製品に直接に接する設計や製造プロセスに携わる要員の力量のみでなく、人事部門や総務部門など製品実現化に

間接的にかかわる要員も製品要求事項への適合に対する影響を考慮することになる。

製品要求事項の適合に対して、関連する業務範囲や影響を検証し、それに必要な力量を考慮することがポイント


設計からのアウトプットの範囲
 

7.3.3設計・開発からのアウトプット

「製造及びサービスの提供に対する情報は、製品の保存に関する詳細を含めることができる」ことが注記で
追加された
適合した状態で製品を保存するには、温度・湿度などの環境影響や梱包状態・保存方法などの
物理的影響を
考慮する必要がある。

保存条件を設定し管理しなければならない場合は設計・開発からのアウトプットの一つとして含めることが望ましい

保存管理の要否も含め、製品の保管・保存条件・方法が明確化されており適切な状態であるかを
考慮することがポイント


顧客所有物のの範囲 

7.5.4顧客の所有物

顧客の所有物には知的財産「及び個人情報も含めることができる」として注記が追加された

顧客の所有物としての「個人情報」が例示されたが、基本は有形・無形に関わらず「顧客からの信頼」としての

立場で管理することがポイント


監視・測定用コンピュータソフトの検証と構成管理 

7.6監視機器及び測定機器の管理

「コンピュータソフトウエアの能力確認には、通常、その使用の適切性を維持するための検証及び構成管理も含まれる」

として注記が追加された。

監視・測定にコンピュータソフトウエアを使用する場合は正しく機能しているかを監視する必要がある。特に関連する

他のソフトウエアとの整合性や改訂版管理は重要な要素であり、現在使用しているソフトウエアが意図した

機能を満たしているかは“製品要求事項への適合”に大きく影響する。

・関連する他のソフトとの整合性の要否は確認されているか?

・監視、測定用ソフトの変更管理は確実化されているか?を管理することがポイント



2008年版追補改定移行への実施事項 

1.2008年版追補は、QMSの運用において「望まれる成果を生む」ことを重要視しており、その意図を
充分理解した
上で現在のシステムを見直す必要がある。

 <内部監査員やシステム見直しの関係者への教育と内部監査の実施> 

2.現在のQMSが「望まれる成果を生み出すQMS」になっているか、2008年版追補で明確化された規格要求に
対し
適合しているか見直し、不足、訂正がある場合はQMSの変更が必要になる。

3.QMSの変更が必要となった場合は関連する手順(書)及びプロセスの監視などを修正・改定し、
関連する要員に
周知し、運用を開始する。

4.QMSの変更を行った場合は、運用期間を経て内部監査を行い、その内容を含めたマネジメントレビューで

経営者によるQMSの「見直し結果の妥当性」の確認が必要になる。

 <マネジメントレビューの実施> 

5.QMSの変更が不要と判断した場合は、従来から2008年版相当の運用が行われていたことになり、
従来行っていた
内部監査、マネジメントレビューは、「2008年版の内部監査、マネジメントレビューを実施した」
ことと見做すことができます。

ただし、見直し(検証した)証拠としての記録は必要である。
品質マニュアルに引用規格があれば、ISO90012008である必要がある。
<見直し結果の記録の維持> 


ISO9001は昨年末、規格の要求事項の変更はなく、分かりやすくするために、正しい解釈をする為に追補改訂という
形で、
2000年版から2008年版に改訂になりました。

正しい規格の解釈は、有効性のある運用につながります。規格の狙いの本質を説明し、そして業務との関連を
易しく
解説いたします。 




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