ISO文書のスリム化と統合マニュアル
ISOの文書・システムをスリム化(簡素化)する延長線上に品質・環境の統合マニュアル
がある訳であり、いきなり統合マニュアルができた訳ではありません。企業により、
マネジメントシステムが既に文書やシステムが簡素化された、コンパクトマニュアルへの
移行ができている場合、統合マニュアルと云っても後は品質・環境の共通部分である
PDCAを統合するのみとなります。
ISOの文書・システムが既にスリム化されている場合、統合マニュアルの完成度を
富士山登山になぞらえるなら、統合マニュアルの完成が八合目登山まで成し遂げられた
事になります。品質・環境マニュアルを統合す手法は、PDCAモデルを使い、重複する
マネジメントシステムを統合します。
PDCAモデルは、ISO14001やISO90001に用いられている方法です。ISO14001では、組織の
人々全員が組織に関わる環境を保全し汚染を予防することを目的としてマネジメントの
一つのPDCAサイクルでプロセスが構成されております。
しかし、ISO9001は、顧客の満足という観点から、マネジメントのPDCAと製品・サービス
のPDCAの重構造になっています。
ISO9001/ISO14001マニュアルの統合を、マネジメントの一つのPDCAサイクルで行おうと
した場合、製品・サービスのPDCAの部分がはみ出す形となるので、ここの部分を品質特有の
部分として別に扱う、統合マニュアルの構成となります。
この方法は、品質や環境のマネジメントのプロセスのみを統合して、品質の製品実現、
環境の運用管理の部分を別扱いとする統合マニュアルとなります。
PDCAプロセスモデルに従って、プロセスごとにマニュアルを章だてした
統合マニュアルの目次例は、下記の通りです。
統合マニュアルの目次例を紹介します。
章 目 次
― 共通部分 ―
1 企業概要およびマネジメントシステムの概要
1.1 企業概要
1.2 マネジメントシステムの適用範囲
1.3 用語の定義
1.4 マネジメントシステムのプロセス
1.5 統合マニュアルの運用基準
2 基本方針、組織図及び責任・権限
3 方針の策定及び運用
4 計画
4.1 環境側面
4.2 法的及びその他の要求事項
4.3 目的、目標及び実施計画
5 実施及び運用
5.1 資源、役割、責任及び権限
5.2 力量、教育訓練及び自覚
5.3 コミュニケーション
5.4 文書類及び文書の管理
6 点検
6.1 顧客満足
6.2 監視及び測定
6.3 順守評価
6.4 不適合並びに是正処置及び予防処置
6.5 記録の管理
6.6 内部監査
7 マネジメントレビュー
― 品質特有の部分 ―
8 製造
8.1 製品実現の計画
8.2 顧客関連のプロセス
8.3 設計・開発
8.4 購買
8.5 製造の管理
8.6 監視機器及び測定機器の管理
― 環境特有の部分 ―
9 運用管理
9.1 ・・・
9.2 ・・・
9.3 緊急事態への管理および対応
10 ISO規格と統合マニュアルの条項対比
11 改訂履歴
ISO維持経費の削減
品質、環境と個別に審査を受けるのに比べ、両者の審査日を同じにし、まとめて審査を
受ける複合審査にすると個別に受けるより、審査工数が4割程減り、審査費用が割安と
なります。
品質や環境のマニュアル統合が複合審査を受ける前提では有りません。品質や環境の
マニュアルが統合されず、審査日が同じだけの複合審査であっても、マニュアルを
統合した統合審査と同じ経費削減効果が有ります。
品質や環境のマニュアルを統合したから審査費用が割安となったのではなく、
単に審査日を同じにしたから審査費用が割安となったのです。
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