ISO成功の鍵は!
ISOの認証を取って、導入が成功している企業とはどんな企業でしょうか?答えは簡単です。最初から
何らかの目的を持ってトライした企業です。
大阪の試作会社では、製造工程のコストを削減したいと言う目的があり、目標に”製造原価の削減前年
比3%を掲げ、製造部の具体的な部門目標に”刃具費3%削減”や”材料費3%削減”を掲げて取り組
み、目標の達成度を毎月チェックし、内部監査やマネジメントレビューで目標の進捗を監視し、年間
数千万円の製造コストの削減に成功しました。
別にISOを使わなくてもできることなんですが、ISOを利用して何らかの目的を達成しよう!と思って
取り組んだ企業は成功するということです。そうです。キーワードはISOを利用する、です。
ISOはあくまでツール(道具)であり、認証取得すること自体は目的ではありません。認証取得した後に
“いかに使いこなすか”いかに組織の発展に活用するか”が核心なのです。
そこだけは必ず理解しておかないと、結果的にISOに使われ、振り回されることになります
ISO認証取得だけなら簡単
ISOというのは、認証取得は割と簡単にできます。ISOの審査に落ちた企業なんてほとんど聞いたことが
ありません。簡単にISOが取れました!と言う声も顧客の声としてよく聞こえてきますが、
コンサルタントの立場からすれば、ISO認証取得なんて当たり前のことです。
ISO認証取得は目的ではなく、認証取得したISOのシステムを使って、会社に何らかの発展をもたらす
ことが、ISOを取得する本来の目的のはずです。
顧客の声として聞こえてこなければならないのは、
・苦労してISOを認証取得しましたが、お陰様で会社がこんなに良くなりました。
・みんなで必死に話し合った甲斐があって組織の課題が解決しました。
・最初の勉強は辛かったけど長く使える効果的なシステムになりました。
・人材育成がしやすくなったし、社員の改善意識も根付いてきました。
などという“取得後に役に立った”少なくとも認証取得して3~5年後に経営に効果を発揮した、
というコメントでなければなりません。そうです、ISOは漢方薬の様なものです。
薄い文書も短期取得も自慢にならない
マニュアルが薄ければ薄いほど、取得が楽なのでしょうか??取得期間が短ければ面倒臭くない
のでしょうか??
薄いマニュアルなんて誰でも作れます。“極端な話”をすれば、A4一枚のマニュアルだって作ろう
と思えば作れます。
逆に分厚いマニュアルを作る必要はなく、できるだけ薄いほうが良いに決まっていますが、ただ単に
薄いだけのマニュアルで審査に合格しても、意味がなく、実務上では使えません。
必要なことが書かれていないので頭で覚えておかなければならないことが増えてしまいます。
また、認証取得までの期間が短いと、自分の会社のシステムを“作りこむ”時間がありません。通常業務
が忙しいという理由で、結局は“コンサルタント任せ”でシステムが構築されてしまいます。完成した
マニュアルや手順書についても自分達が関与していないので愛着も湧かないし、できれば日常的にISOに
関わりたくなくなります。
勉強していないから、運用の仕方も、修正の仕方も今ひとつ分からないままです。審査に通るように
形だけを整える悪い癖がついてしまいます。一度そういう状態に陥ってしまうと、その会社のシステムは
向上や改善するどころか現状維持が精一杯となります。
ISOの重たいルールは脱ぎ捨てよう
継続的改善どころか、現状維持に四苦八苦している企業は、やらなくても良いことまでルールを設定し
てしまった企業です。重厚長大な手順書や規定、記録書式、しなくて良い会議、余分な計画などを設定
してしまった、という場合です。このタイプの企業も意外と多いと思います。
以下は、ISOの重たいルールを構築したパターンです。
・中小企業なのに大企業のマニュアルや手順を真似てしまった。
・コンサルタントや審査員が持ってきた事例をそのまま取り入れてしまった。
・書籍や参考書の内容を次々に導入してしまった。
重いルールを構築した企業は、基本的に真面目です。辛いルールを守り続け、面倒だ、負担だ、
やりたくないという言葉さえ発することなく、厳しいルールに従っています。
おそらく審査員に言われたことも、忠実に守っているのでしょう。たとえ自分の会社にそぐわないこと
を言われたとしてもです。一言で言うと真面目過ぎます。
やりたくないことはやりたくない!できないことはできない、と主張する勇気がなかったが故に、
コンサルタントや審査員、あるいは書籍に言われたことをそのまま取り入れて、ルール が
どんどん増えて複雑化していったのでしょう。
ISOのルールはあくまで自主基準です! ルールは厳しく設定するも甘く設定するも自由です!従って都合の悪いルールは自分達でいくらでも改定できます!
ISOのルールは守るためだけにあるのではありません。地域の要請、社員の要望、顧客や取引業者の変化
、設備の進化、法令の改正などに合わせて、どんどん変えていくべきものなのです。むしろ常に変化し
ていくことが自然で、最初に設定したルールを頑固に守り続けている企業のほうが“異常”です。
使い勝手の悪いルールは、さっさと破棄しなければなりません。
もしも沢山の分厚い文書類を前にして、『今更どこから手をつけて良いかも分からない』という状態な
ら、考え込むことはやめて、一度専門のコンサルタントに頼んで一気にスリム化してしまうほうが解決
の早道でしょう。
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