品質マニュアル作成のポイント
ISO9001:品質マネジメントシステムの運用が社員の皆様に負担が大きいのであれば、
まず、文書体系のリストラです。マネジメント文書の文書体系をマニュアル、規定、
手順書、様式と定義されている企業が多いのですが、文書の階層や種類が多いと管理の
手間はそれだけ多くなり、また、文書間の不整合も発生しやすくなります。
マニュアルに規定を含め一体化させ、文書体系をスリムにしましょう。
文書体系のスリム化とともにマニュアルの改訂を行い、文書そのものを簡素化されることを
お薦めいたします。ISO9001の要求事項を満たしていれば、マニュアルの改訂は自由です。
マニュアルや手順書などのマネジメントシステム関連文書は、文書だけにする必要は
ありません。
フロー図や表などで表現しても良いのです。マニュアルや文書類はできるだけシンプルで
簡素化されているもの、つまり、社員の皆様がわかりやすく使いやすいものにすることが、
運用・管理のし易さにつながります。
大阪の製紙会社でマニュアルの簡素化及びシステム文書の再構築を行い、リフォーム前に
17規定あった規定を全てマネジメント文書から外し、参考文書としました。
文書の再構築により、マネジメントシステム体系は、手順書を含めたマニュアルと
標準類・記録類の二層化としました。
製造実現の計画で必要なQC工程表や標準書など以外で必要な文書は、以下の項目です。
①基準値を決める(検査、工程)
②それを見ながら仕事をする
③新人の教育用
④技術の伝承
⑤外部への説明用です。
そして審査対策以外に用途がない文書が不要であることは、言うまでもありません。
文書化すべきもの
ISO9001規格が要求している文書は、ご存知の通り大きく分けて5つしかありません。
①品質方針(規格5.3参照)、品質目標(5.4.1参照)
②品質マニュアル(4.2.2参照)
③規格が要求する6つの手順書(“文書化された手順書)
④自社が必要とする文書
⑤規格が要求する記録
上記、文書化すべきもの①~⑤の概略説明は、下記の通りです。
②品質マニュアルは、(1)適用範囲、(2)文書化された手順・または参照情報、(3)プロセス
間の相互関係を記載しなければなりません。
④「組織が必要と判断した文書」を選定していきます。組織にとって何が必要で何が不要か
、既に運用している組織であれば判断ができると思います。例えば誰がやってもできる
簡単な作業・同じものが必ずできる作業まで手順書を作る必要はありません。
⑤規格が要求する記録は、21種類あります。最低限これだけは文書として用意しなければ
ならないものです。逆を言えば、これさえあれば十分という事です。
文書の作成や見直しで大事な事は、文書は使う人の立場に立って見ることです。
重厚で立派な文書を作成しても、見ても分からない・誰も見ないでは意味がなく、
お荷物ISO文書となってしまいます。
スリム化文書を作成するポイント
●文書を作成すること、の意味とは…?
①ルールを決める。…(手順)
②文書に書く。…(文書化)
③決めたとおりに仕事を行う。…(実施)
④状況に合わせて文書を変更する…(維持)
●文書化の必要なもの、その文書の詳しさは、何によって決めるか…?
①組織(自社)の規模や仕事の種類
②仕事の複雑さ、仕事のつながりの複雑さ
③仕事をする人の能力
スリム化文書を構築するアドバイス
①文書の作成にあたっては、文書体系を考えること、簡素化マニュアルの出発点は
まず、文書体系のリストラ(シンプル化)から始める。
・文書体系は、品質マニュアル(手順書を含める)と計画・標準類(帳票類)の
二層化にする。
②文書体系の2層化に合わせて、文書そのものも簡素・簡単に作成することが望ましい
●品質マニュアルは、手順も含め、33頁程度にする。
●余計な説明はいりません。絶対必要な”誰が””何をする”をまとめていきましょう。
●帳票は、多機能化(手順、指示、結果を一枚の帳票に含める)する。
●台帳方式よりも、一覧方式を多用し、記録の容量化を図る。
文書体系をスリム化し、文書そのものを簡素化したら、
その次は文書管理の簡素化です。
ISO維持管理の煩わしさは文書管理です。日常の承認督促、配布管理、承認漏れなどの
それぞれの手間は、改訂作業に起因するものですから、基本的に改訂原因となるものを
取り除くことで文書管理を簡素化すことができます。
●共通文書を統合する
・また、文書の統合もスリム化に有効的です。例えば、環境マネジメントプログラムには、
スケジュールが記載されていることが多いですから、年間教育訓練計画、年間内部監査計画
、マネジメントレビュー会議の日程などを計画文書でまとめてしまうと、文書管理の手間も
省けることはもちろんのこと、記録類の管理も楽になります。
●文書改訂の原因を削減
・文書の改訂原因そのものを無くすことができないか検討しましょう。例えば、組織変更の
際は、膨大な改訂作業となるケースが目立ちます。品質マニュアルの組織表を簡略化、又は
組織表そのものを削除したり、「部長は~する」と決められている場合、「部課長は」や
「部門長」はと幅を持たせることにより、組織変更や人事異動による改訂ケ所と回数を減ら
すことができます。
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