ISO取得に取り組み始めた当初から使用している内部監査チェックリストを、何年もその
まま継続して使用している企業は、意外と多いと思います。認証取得の段階では、
規格要項への適合性に関する監査が実施でき、要求項目や監査範囲の確認漏れが防止できる
といったメリットがあります。
適合性監査である「○○記録はありますか?」、「○○文書は承認されていますか?」と
いった内部監査チェックリストを使用し続けていると、形式的な内部監査になってしま
い、内部監査そのものがマンネリ化します。
内部監査のマンネリ化防止や内部監査を通しての経営改善のため、マネジメントシステムの
成熟度に応じ、適合性監査から計画や目標の達成度(有効性)を確認する内部監査
チェックリストに転換し、有効性を問う内部監査チェックリストを作成します。
以下のチェックリストは、有効性を問う内部監査のサンプルチェックリストです。
購買部門長にお聞きします。
●購買プロセスの目的は?
●購買品の納期を注文書で管理されていますが、購買品が次工程へ遅延なく、供給できな
い場合は、 どのようにしていますか?
●コストダウン金額の達成管理は、コストダウン集計表で行っておりますが、コストダウ
ン金額が期待される金額にならない場合は、どのようにしますか?
製造部門長にお聞きします。
●製造ブロセスの目的は?
●生産計画の進捗状況・生産高や歩留の管理を生産予定表や生産日報・検査記録で行って
いますが、 進捗状況・生産高が生産計画通りに達成できない場合は、どのような処置を
していますか?また、歩留まりが大きいときは、どのように対処していますか?
営業部門長にお聞きします。
●営業ブロセスの目的は?
●受注金額・粗利益の管理は、受注実績で行っていますが、売上高や粗利益が目標とする
売上金額や粗利益を達成していない場合はどのような対策をしていますか?
●顧客満足度の調査は、顧客満足度調査表で行っておりますが、調査結果は、
どのように活用していますか?
管理責任者にお聞きします。
●方針・計画ブロセスの目的は?
●品質目標・実行計画の進捗の管理を経営目標シートで行っておりますが、
目標が達成されていない場合はどのように対処していますか?
●改善ブロセスの目的は?
●継続的改善の実施状況の管理は、是正・予防処置報告書で行うとありますが、どのよう
な継続的改善が行われましたか?
●顧客クレーム内容・件数の管理を顧客クレーム集計表で行っていますが、品質管理は
期待される成果が上がっていますか?
●クレーム管理の評価基準(物差し)は何ですか?
内部監査チェックリストにおいては、規格要求事項、品質マニュアルや手順書通りに
業務、作業が行われていることを確認するだけではなく、計画通りに実施され、効果が出て
いるかを確認することも重要なポイントです。
いくら手順通り実施していても、目標に対する達成度が未達成である場合は、手順やプロ
セスに何らかの問題があると推測できます。
・手順通りやっているか(適合性)
・計画通り実施され、効果が出ているか(有効性)の両面を確認するために、
「何を、どのように観るか」を予め内部監査チェックリストに明確にしておく必要があり
ます。
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