特殊工程におけるプロセスの妥当性確認



特殊工程は、ISO9001の中でも、特に難解な、「プロセスの妥当性確認」です。 

要妥当性確認プロセスである特殊工程は、塗装、メッキ、接着、圧着、圧接、溶接・ロウ付け、
ハンダ付け、(加)熱処理、アニール(焼鈍)、シンタリング(焼結)、鋳造・鍛造、製紙、
製鉄などですが、これがすべてではなく、他にも色々あります。こうした特殊工程が
ありながら、どこの会社も妥当性確認プロセスは無いことにしたがります。


「プロセスの妥当性確認」とは「計画どおりの結果を出せることの実証」です。後から検査が
できない工程については、仕事のやり方(製造条件)が正しいことを、証拠を示して
説明しなきゃいけないのです。新製品を生産する時に、実際の製造ラインで試作をして、
適切な製造条件を決めるのは、多くの製造業でやっていることです。そして、日常の工程監視も
するはずです。


7.5.2項は、検査が難しい工程について、「実機試作をやって製造条件を確認すること」そして
「その製造条件が守られていることを監視すること」という、当たり前のことを求めているのです。

上記の7.5.2項プロセスの妥当性確認を、大阪の企業で文書審査を通り、実際に使われている
品質マニュアルを引用すると、以下の様な文書となります。


7.5.2製造に関するプロセスの妥当性確認 

製造の結果がその後に検査できない工程、または引渡し後にしか不具合がわからない

工程(特殊工程)については、製造部担当者が妥当性確認を行う。妥当性確認により、

これらの工程から計画どおりの結果が得られることを実証する。製造部担当者は、
特殊工程を以下の通り
管理する。

(1)特殊工程の適切性・妥当性・有効性を判定するための基準、および承認するための基準を
定める。
(2)承認された設備の使用、および資格認定された作業者による作業を行う。
(3)「QC工程表」「作業手順書」に定められた方法、手順を適用する。
(4)作業者、作業日、使用設備、作業方法、作業条件などを「特殊工程記録」に記録する。
(5)また時間の経過とともに必要と判断した場合は、プロセスの妥当性の再確認を行い、
手順を見直す。


どこの会社も特殊工程がありながら、妥当性確認プロセスは無いことにしたがります。それは、
特殊工程があることにより、プロセスの妥当性確認を行い、面倒な管理をしなければいけない
様に
感じるからです。それで妥当性確認プロセスから逃れる為、検査工程を無理やり強化する
ような後ろ向きの考えではなく、少々検査が困難だと思われる工程も含んで、妥当性確認を要する
工程として確立し、記録することにより、無駄な検査工程が省略できます。
妥当性確認を要する工程を確立すれば、検査なしでいつも最高の良品が提供でき、その結果
コストダウンにつながります。





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