ISO9001:2008年版規格解説 8-1一般~|簡素化ISO構築

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8.1 一般


以降の要求事項から、監視、測定、分析及び改善を行うことを求めていますが、

その目的は次のためであるとされています。
・ 製品が要求事項に適合していることを確認するため
・ 品質マネジメントシステムのルール、計画などに適合していることを確認するため
・ 品質マネジメントシステムそのものを改善するため

このために、必要な手法については自組織内で必要なものを決めて実施することを

求めています。

8.2 監視及び測定

8.2.1 顧客満足

ここで注意したいのは、この要求事項は顧客満足度調査をしなさいという要求ではない

ということです。

あくまでこの要求事項については、顧客要求が実現できていることを確認する手段として、
「顧客がどのように受け止めているか」という情報を監視することを求めています。

満足度を分析するわけではなく、顧客の声を収集する方法と、その収集した情報を
どのように使用するのかを定めなさいということが要求されています。

もちろん、その情報のうちには満足度の調査もありますし、アンケートなどの意見も
ありますし、極端に言ってしまうと、受注率や失中率を分析することなどもこの要求の
実現に該当します。

必要に応じて、顧客の声を入手する方法は変わる可能性もあるので、どのような情報を
得たいのか次第で入手する方法、分析の方法などには自由度を持たせておくのが
望ましいでしょう。

8.2.2 内部監査



ISO9001:2008の8.2.2内部監査では、a)要求事項への適合性の検証と、b)有効性の評価を
求めています。
組織は品質マネジメントシステムの次の事項が満たされているか否かを
明確にするために、あらかじめ定められた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a)品質マネジメントシステムが、個別製品実現の
  計画(7.1参照)に適合しているか。
  この規格の要求事項に
適合しているか。
  及び自社が決めた品質マネジメントシステム要求事項に適合しているか。

b)品質マネジメントシステムが効果的に実施され、維持されているか

上記で規定された監査目的を実現できるかが監査の大きなポイントとなります。

8.2.3 プロセスの監視及び測定

プロセスの監視とは、実施している業務プロセスが要求を満たせるような成果を
あげられているかを確認することを指しています。

当然のことながらプロセスの種類によって出来ることが違ってきますが、
・ 作業の監視
・ 作業報告の確認
・ 作業実績の測定
等といった方法が考えられます。

8.2.4 製品の監視及び測定

前述の8.2.3がプロセスの監視であったのに対して、こちらは出来あがった製品の監視に
なります。言うならば、出荷前の最終確認です。
もちろん、製品の種類によって監視、測定方法は異なってきますが、
・ 試験
・ 動作チェック
・ 作業結果確認
・ 視覚による確認
等といったものがあります。

また、こちらの要求では、はっきりと製品という成果物が対象のため、合否判定基準が
なければなりません。

さらに、試験の結果、リリースを許可した人が誰なのかを記録することを求められています。

逆に言うならば、このチェックを行い、合否判定基準に照らして合格を判定しなければ、
最終的に製品は出荷してはならない、ということです。

最後に、製品実現の計画で定めた全体のプロセスが完了して、最終確認にまで至って
いなかった場合は、リリースしてはならないとされていますが、顧客が許可した場合や、
社内の権限者が許可した場合はリリースすることも許されます。

これは、緊急時の対応などをする際に必要となることもあるでしょう。


8.3 不適合製品の管理

不適合製品とは、規定された製品の要求事項に該当していない、いわば不良品です。

この不適合製品については、誤って出荷などされないように、識別する必要があります。

この、不適合製品の管理については、以下の処理をしなければならないとされており、
その手順は文書化されていることが求められています。
・ 不適合を除去する。(不良を直すことなど)
・ アウトレット品などのような形で、通常製品とは異なる出荷をする。
  ただし、その場合には権限者、もしくは顧客の承認を受けなければならない。
・ 間違って出荷されないように、保管したり破棄したり等する。
・ 引き渡し後に不適合が発覚した場合には、その不適合によって被害をこうむってしまった
ことや、被る可能性のある被害について対応する。

不適合製品について、直して出荷など行う場合には、再度検証することを求められています。

また、これらについて実施したことについては記録しておく必要があります。

と、ここまでの項目を製品を中心に考えるとサービスが非常に分かりづらいので、
こちらについては特別にサービスの場合の解釈を解説しますが、サービスの場合、
不適合製品とは、サービスがきちんと提供できていない状態のことを一般的には指します。

または、クレームなどが発生してしまった場合もこのような不適合に該当する可能性があります。

もちろん、もともと、そのサービスの要求として何を定めているか、次第とはなりますが、
例示させていただいたような内容を対象として考えると、この不適合の管理が
分かりやすくなります。

不適合の管理は、サービスにおいては次のようなことを実現することになります。
・ 不適合サービス等が起こらないように、問題のあるサービス内容などを修正する
・ サービスそのもののメニューを変えたり、することで今まで通りサービスを提供する
・ 謝罪などする
・ 問題のある担当者をサービス担当から外す
・ サービスによって被った被害を補償等する

等のようなことが適用になります。

8.4 データの分析

品質マネジメントシステムにおける、データの分析とは、収集した記録などを分析することです。

たとえば、不適合の発生数や発生率、発生状況等、単に発生しているものを一件ずつ対応する
だけでなく、傾向などを分析することによって、現在の製品の弱点等を見つけることが出来る
ことなどもあるでしょうし、受注率と営業活動の分析を行うことで、売り方が分かるかも
しれません。

この項目については、上記のように、データとして分析したほうが見えるような情報について、
分析の対象としなさいということが要求されています。

このデータ分析は次の事項を目的にすることが求めらています。
・ 顧客満足の検証
・ 製品の要求事項への適合に関する状況の確認
・ 今後起こりうる問題を予見するため(さまざまな状況の特性や傾向の分析などにより)
・ 供給者に対する評価など

8.5 改善

8.5.1 継続的改善

品質マネジメントシステムは、前述の活動などを行うことで品質マネジメントシステムを
改善していくことを求めています。

ちなみに、有効性の改善、という言い方をされていますが、有効性とは何かといえば、
・ 品質目標の達成
・ 製品要求事項の実現
のことです。

これらが確実に出来ていれば有効だと判断できることになります。

8.5.2 是正処置

是正処置とは、不適合に対して問題の原因となるような事象を、完全に除去することで
再発防止することをいいます。

是正処置については、以下の手順を文書化することが求められています。
・ 不適合の内容を具体的に確認する
・ 不適合の原因を調査する
・ 不適合の再発を防止するために必要な処置が、本当に必要かの評価をする
(実施することによってむしろ影響が出るような対策を行うことを防ぐため)
・ 必要な処置を決定し、実施する
・ 実施した処置の結果を記録する
・ 行った処置が本当に効果があり、再発が防止できているかの確認

8.5.3 予防処置

予防処置とは、不適合が起こりそうなときに、事前に処置をして問題を除去しておくことを
言います。

予防処置については、以下の手順を文書化することが求められています。
・ 起こりうる不適合が実際どんな状況で、どのようなものが発生するか、
また原因は何か特定する
・ 不適合を予防するために必要な処置が、本当に必要かの評価をする
(実施することによってむしろ影響が出るような対策を行うことを防ぐため)
・ 実施した処置の結果を記録する
・ 行った処置が本当に効果があり、予防ができているかの確認



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